社長ブログ
株式会社アイネット
みなさん、こんにちは!
今日は経営上の資金繰りのひとつの基準について書きます。
『ドラゴン桜』という受験のノウハウ満載の漫画で有名な三田紀房さんの描いた『マネーの拳(けん)』というビジネス漫画があります。引退したボクサーである主人公の花岡ケンが引退後にビジネスの世界に踏み込み、経営者としてどんどん成長していくという漫画です。
アパレルの世界で上場し最終的に世界的なブランドを目指すというちょっと真似しずらい壮大なストーリーなのですが、要所要所でとても大事なことが書いてあります。
今日は中でも、資金繰りの基準で参考になるシーンを紹介させてもらいます。
花岡はアパレルの会社を始めたのですが、新しいブランドを立ち上げたときに客足が伸びず大量の在庫を抱えてしまいます。焦るケンに大物実業家でありケンの会社に出資をしている塚原為ノ介は「資金面の苦労は意外に早く解決するよ」と言うのです。不思議に思うケンに「実は現時点でも君は大量の現金を持っているんだよ」と言います。続けて「売れさえすれば現金…」とも。
売れさえすれば現金…。
現金を在庫という形に替えて持っていると思えば良いということです。
私がアイネットの代表になるという時に、当時、手狭になったオフィスの移転先としてテナントビルを下見して回っていた私ですが、ちょうどそのとき、銀行のかたが今の社屋の物件を持ってきてくれました。そのとき社屋を買うことを決めた私に、知人の中には「そんなものを買って大きな借金を背負ってどうするの」と言ってきた人もいたのです。でも当時はきちんとロジックで反論できなかったんですよね…。
つまり赤字を出しても投資していいのは、「その替わりに手元に何がやってくるか」というのが明確なときだと思います。なので、この業界であれば技術者が育つならそれはやっても大丈夫な「資金面の苦労」でしょう。資金繰りで苦労しているときは、とかく、借入を抱えていること自体をマイナスと指摘されることも多いものですが、何のために借入れしたかを見失わない限りそれ自体はマイナス要素ではないと思っています。
そんなことを考えながら、ときおり『マネーの拳』を読み返しています。
みなさん、こんにちは!
今日は「10年以上前から分かっていた技術者の不足」について考えたことについて書きます。
私は10年以上前から営業しながら業界の状況を見ていて、「このままだと技術者は足らなくなる」と感じ、会社が赤字の時も頑張って新卒採用をしてきました。今、改めて各社様を回らせていただきながら、それなりに社歴のあるIT企業の現場の高齢化が進みつつあるのを実感しています。10年以上前からこうなることは分かっていたはず。そして、若手は一年や二年では育たないことも分かっていたはず。なのに、なぜ早くに対応しなかったのかと思っていました。
で、私自身がどこでどう人材不足に対する考え方の舵を切ったかを思いだしてみていたのですが、決して私が先見の明があったというのではなく、きっかけがあったことを思い出しました。それは十数年前、経済団体の大会の分科会で、とある製造業の社長さんが「これから人口は減る。それを見据えて業態を縮小するべきだと考えている」というお話をされたのを聴いたときです。それは私にとってちょっとした衝撃でした。人口は減るにも関わらず、漠然と社会全体はまだ「成長=売上数字の増加」を信じながら動いていたと思います。そこで敢えて「縮小」も考えるということを、当時の多くの経営者はなかなか口にしなかったのではないでしょうか。少なくとも私の周囲で縮小を口にしたのを聞いたのはそのときが初めてでした。
ただし必ずしも「業態の縮小」が正解という意味ではないです。人口減における成長の意味は「全ての数字を伸ばす」、ということではなく、「何を伸ばして何を減らすかのバランスで企業の存続を考える」だとそのとき気付かされたと思います。のちにそれは、私自身にとっては「短期の売上をあきらめても、将来の人材を育てて備える」という考えになりました。たぶん、単年で成果を求められる企業にとっては逆で「人を削減して、売上を伸ばす」という解を出してしまうこともあると思うんですよね。
とはいえこれもまた、10年前のわが社の戦略でしなかく、10年後に向けた戦略は全く別のことも考えていかないと、と考えています。その中には、たとえば「技術者の収入源が単一の会社からだけで構成されるものではなくなる」、といったこともあると思うので、さまざまな可能性についてできるだけ良い判断ができるようにしたいと思っています。その一環として、ここ何年も技術者以外の間接要員をあまり抱える余裕がなかった弊社ですが、これからは多様な働き方を支えるためにも総務部を拡大していく予定です。
みなさん、新年あけましておめでとうございます。今年も社長ブログを宜しくお願い致します。
早速ですが、今日は年頭にあたって朝礼で話をしたことを掲載しておきます。
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みなさん、あけましておめでとうございます。
会社の経営とは、時代の変化を読むことであり、それが成長戦略にもなれば生存戦略にもなります。人材の育成は、採用準備から始まり、具体的な採用活動を経て、入社後の教育と続いていくので、その採用準備をどうするかから考えると、少なくとも5年先ぐらいは考えていかなければなりません。そういう意味で、常に時代の潮目に気づいていかないといけないのですが、今日は、昨年ぐらいに私が感じていた変化について二つ話したいと思います。
まず一つ目は、「お客様は神様ではなくなった」ということです。私が幼少のころから長く、「お客様は神様です」という言葉が流行り、元来、労働と対価は等価交換であるべきところ、お金を払う側のほうが強くなった時代が長く続いていました。ところが、最近はだんだんとそうではなくなってきた気がします。お金を払う側がそう力を持っているとは思えなくなってきました。技術者不足、労働力不足が顕著になってきたためです。なので、昔であればお客が言う納期は絶対であって、納期直前に徹夜作業する業界も多かったと思います。あるいは、最初に提示した金額より実際に着手すると想定外のことがあっても変更できなかったりしました。が、少しずつではありますが、無茶な納期の案件は断ることができるようになってきたり、実際に蓋を開けてみると想定以上に費用がかかる場合はそれを請求する交渉ができるようになってきたと感じます。
もちろん、労働力を供給する側としては良い環境になってきたとも言えますが、逆に、自分が仕事を依頼する側であるときに良い依頼主でないと仕事をしてもらえない時代が来たと言えるかもしれません。
二つ目は「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席したイチローさんが言った「先生よりも生徒のほうが力加減が強くなってしまって、厳しく教えるのが難しい時代になって、自分で自分のことを教育しないといけない時代に入ってきた」という言葉です。これは学校はもちろんのこと企業でも同じく、厳しく教えることがパワハラにもなりかねない、あるいは、「厳しい態度」がリスクを呼び込むことになりかねないという状況です。
ではこれからの時代に個々人が成長するということはどういうことでしょうか。もちろん「自分で自分に厳しくする」ということもあるでしょうが、まず、成長に必用なことを気付かせてもらうことが大事と思います。必要なことを指摘してくれる、気付かせてくれる関係を構築していく。分からなければ「教えてください」と頼めるチャンネルを複数持つとか、ノウハウを指導してくれる有料サービスを使うなど。幸いにも今はたくさんのサービスがコンテンツとして提供されています。
たとえば私は最近、硬式テニスを始めました。そういう話をすると周囲は「怪我しないように」「無理しないように」とネガティブな印象を前提に注意をしてくれる人が多いのですが、大人になってスポーツを始めるのは、学生時代の部活と比べて格段にやり易いです。今思えば、中学高校の部活では、教員が部活の顧問も兼務していたためそんなに丁寧なノウハウを教えてもらえていなかったし、真夏の長時間の球拾いなど無茶も横行していました。当時のスポーツ漫画を読み返しても「倒れるまでやる」「吐くまでやる」というものだったりします。今はスポーツする前後のストレッチなどの身体のケアも含めて動画でたくさんの配信があり簡単にコツが学べますし、初心者向けのレッスンへの加入も充実しています。自分に厳しくしなくても、学ぶ機会の土壌は格段に豊かになっているわけです。なので、「学ぶ=厳しい」ではない時代に合った学び方をたくさん手に入れた人が成長し易い時代なんですよね。
というわけで、今日は時代の変化二つについて最近考えていることを話しました。時代の変化は加速しています。皆さんも「最近の変化」について常に敏感でいてください。今気づいたことが5年先の差を生み出します。
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