社長ブログ
株式会社アイネット
みなさん、こんにちは!
今日は最近読んだ本の中から『ついやってしまう体験の作り方』を紹介したいと思います。
この本は元・任天堂企画開発者の玉木真一郎さんが「ついついやりたくなるゲームの企画の裏舞台を明かしてくれながら、そのような体験を読者自身が企画できるようにと解説してくれたものです。
たとえば「ついやりたくなる」という魔法のノウハウをもとに自社サービスを企画すれば、お客さんはついついお金を遣ってサービスを利用してくれて超ラッキーってもんです。
では、その魔法とは何か。
具体的に、玉木さんは世界一売れたゲームとしてギネスにも載った任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』を例に挙げて説明をしてくれています。
まず冒頭で質問されます。
「このゲームはなぜ売れたのでしょうか?」
と。
でも、すぐには答えられません。
で、次にこういう質問をされます。
「このゲームは何をすれば勝ちなんでしょうか?」
これも案外すぐには答えられません。
何かを倒したり、制限時間内に何かをやったり。でもそれはゲームの最終目的ではなくてほんの枝葉の話。
で、もっともっと根本の、マリオを最初に動かすところに話のスポットはあたります。
スーパーマリオを初めてプレイする時、プレーヤーは、何を最初にすれば良いのか分からないまま放り出されます。そこからプレーヤーは「仮説」を立て、「施行」をし、それが上手くいって「歓喜」する。
この一連の体験を自発的に気づかせることで、プレーヤーは初めてこのゲームを面白いと感じる。
ここにまず、マリオのヒットに隠された企画の力が丁寧に説明されています。
なるほど、「仮説」→「施行」→「歓喜」が必勝パターンね、と思うのはまだ早い。これはただ一つのパターンでしかありません。そのあとにもたくさんの、人の心の動きを想像しながら作り上げられた「ついやってしまう体験」のパターンを生み出した工夫について説明してくれるのです。
そしてその工夫は、もともとは多くのゲームのハードの「制約」から生まれたものであったりもします。読者は「時間やリソースがない」という制約をネガティブに考えずに、ポジティブな要素に繋げられることも学べます。
著者の狙いは読者にその「仕掛け」一つ一つをマスターさせることではなく、読者自身が抱える背景と問題、それを解決する「仕掛け」を読者自身で生み出せるようになることが狙いだということが読んでいて強く伝わってきます。
この本は多くのページを割いて実際のゲームを例にとり丁寧に説明してくれますが、もっと汎用な企画に対してどのようにアプローチしたらよいかを巻末付録として「実践編」という形でまとめてくれていて、こちらもめちゃくちゃ役に立ちます。
たとえば、「企画」のページではプレゼンテーションについてのちょっとしたコツを書いてくれています。
--(引用開始)--
悲しいことに、世につまらないプレゼンは絶えません。聞いているうちに一度でも興味を失ってしまったら後の祭り、プレゼンを最後まで聴き通すことは二度とできないでしょう。逆に、プレゼンする側としても、プレゼン途中でよそ見されたり、寝られたりしてしまったら…ショックですよね。
ポイントになるのは、いかにプレゼン中に集中力を絶やさないか。ではここで、逆に考えてみます。プレゼン中にいちばん集中力が落ちるのはどんなタイミングでしょうか?
--(引用終了)--
さて、そのタイミングはどこでしょうか。よければ実際にこの本を手に取ってみてください。ここに書かれたひと工夫でプレゼンがぐんと良くなるのであれば、この本はものすごくお買い得だと思います。