社長ブログ

株式会社アイネット

みなさん、こんにちは!

今日は私が経営をする上で大事なものと思っているフォロワーシップについて書こうと思います。

私はもともとは、現会長である私の父の岩崎重治が起ち上げたアイネットを継ぐという気持ちはないまま、他社で10年ほどプログラマとして働いていました。その間、二人の子の子育てもしていましたので技術者として充分な活躍もできておらず、プロジェクトのマネジメントもしたことがありませんでした。そんな私が、2001年に父の要請を受けアイネットに入社、その後、2006年にアイネットの代表を継承しました。

アイネットに入ったばかりの頃は社員の方々に申し訳ないという気持ちでいっぱいでした。理由は、リーダーシップの無さと営業力の無さです。いつも、「私が女性だから、営業力もなくいい仕事を取ってこれなくて申し訳ないな」と感じていました。なぜ女性だったら営業力がないと思ったのか。同業他社の社長や営業の人は、一緒にゴルフをしたり飲みに行ったりして交流しています。そういう中で上手に商談をしているのだろうなと思っていたのです。

とにかくそれまで技術者としてしか働いたことがなかったのですが、まずは営業をして仕事を取って来なければなりません。営業の手ほどきをしてくれる人がいなかったため、最初のうちは出入りの業者さんにお願いして時間を作ってもらい、営業のやり方を教えてもらったりしていました。あるいは頑張って飛び込みで電話をかけ訪問していました。折しもそのときはITバブルがはじけた頃です。営業の電話をかけても訪問を断られたり、訪問しても厳しい言葉を頂戴して追い返される毎日でした。当時は一日に三軒も飛び込み営業すると胃が痛くなり、帰宅すると横になっている有り様でした。

また、最初のうちは仕事を取ってきても社内に人はいなかったので、自分で開発環境を作り、開発し、納品しに行っていました。合間に採用をしたり、営業をしたり。採用をしても新人ですから、充分な指導もできていませんでした。それでも、少しずつ少しずつ、失敗も経ながら人を増やし、少しずつ請負いの仕事もこなせるようになったものの、私の入社より前からいた社員の人たちの反発もあり、まるでリーダーシップに欠ける上司だったと思います。そのときは独りぼっちで奮闘していると感じており、採用の筆記試験も、自分で問題を作り、同じく技術者の夫にレビューしてもらい、当時高校生だった長男に解いてもらってなんとか形にしてから、社員のみんなに試しで解いてもらい、最後に本番の筆記試験で出していました。

そんな中、転機になったのは2004年に入会した商工会議所青年部という経済団体でした。それまで経営者の友人もおらず地元の取引先もない中、人脈を作りたいと思い入会しました。またそこでリーダーシップを学びたいと思っていました。入会当初も相変わらず人間関係がうまくいかず、すっかり自信を失っていた私ですが、行きがかり上、なんと商工会議所青年部の会長職を務めることになりました。初の女性会長ということで周囲とも摩擦があった中、私を本当に支えてくれる人たちとの出会いがあり、私は初めて「フォロワーシップ」というものを知りました。フォロワーはリーダーの補助として動くだけでなく、リーダーの行動に修正的意見を述べることができたり、リーダーの意図を汲んで周囲をまとめたりする存在です。リーダーはフォロワーがいないと真のリーダーになることができません。

フォロワーシップというものを知って振り返ってみると、それまでアイネットに入社してから一人で奮闘していたつもりだったのに、気付けば「僕も一緒に筆記試験を作りたいです」と名乗り出てくれた私が初めて採用に関わった社員のSや、駅周辺の清掃活動に一緒に参加してくれたNなど、「一緒にやりたい」と考えてくれている社員の存在がありました。

そこからは、経営の迷いがなくなり、経営がとても楽しくなりました。

もう一つ、自分が起ち上げたわけでもない会社をどんな気持ちで経営していけばいいか悩んでいましたが、そのことについて「技術者の尊厳を損なわない経営判断」を経営の理念にしようと思いつきました。それは私自身、現場で働く中で技術者が現場で搾取され苦しんでいる姿を沢山見てきたからです。技術者を守るために、女性として力も弱く声も小さく、子育て中で夜も無理が効かず、また零細である企業のいち社長ができることは「正しい判断」だけだと思ったのです。

社長になった前後は沢山の経営論やリーダーシップ論の本を読みました。

でも今思い返せば、アイネットに入社して頑張ってきた10年ほどの自分の頑張りの記憶がどんな本よりも今の自分にとって力強い経営書だなと思います。まだまだやることは山積みですが、過去の自分に負けないように精進していきたいと思っています。