社長ブログ
株式会社アイネット
みなさん、こんにちは!
このたび父が遺言を公証役場に提出しましたので、そのことについて書きます。ここをご覧になっている方の参考になればと思っています。
まず最初に、遺言を作るタイミング、あるいは周囲が本人に作るよう促すタイミングというのがすごく難しいと思います。特に、それなりのお年の親御さんがまだまだ現役で仕事をされている場合、あるいは自立して生活できている場合は難しい家庭もあるのではないでしょうか。
我が家の場合、父が今年の5月に癌が発覚してから、検査入院を経て、抗がん剤治療ということで自宅療養になったのがきっかけとなりました。それまで毎日会社に出社していたのですが、自宅療養することにより時間の余裕ができたのです。そこで、終活の良い機会だということになり、懸案だったことを順次片付けていくことになりました。具体的には、免許を返納したので車の廃車手続きをしたり、介護申請を出し家の手すりを付けてもらったり、お墓の耐震施工をしてもらったり。
その中で、遺言の話が自然に出てきました。
父の場合、相続人が母、妹、私の三人です。そのうち、母と妹は父が亡くなったら生活拠点が県外ということで、私が諸手続きをしなければなりません。その際に、相続人が揃わないと実行が難しいことなどがなかなか実行できないまま宙ぶらりんになったり、あるいは、(これは大丈夫と思いますが)見解の相違や感情の行き違いがあっては困るなということで、このタイミングで作成することになりました。
以下、手順を書いておきます。
①弁護士選び
これは私の知人にお願いをすることにしました。経済団体で一緒に活動をしており、人柄や仕事の進め方で信頼しているかた。
②ヒヤリング
弁護士にざっくりとした本人(以下、父のことは本人と記します)の意向や家族関係、資産状況などを実際にヒヤリングしてもらいます。その際に、これからの進め方や必要書類などをご指示いただきます。その際の相談料等は弁護士事務所によって異なるかと思います。
③必要な書類の収集、手続きの実施
③-1 弁護士への委任契約書の作成と手数料の振り込み
③-2 必要書類(家庭によって異なります)
・本人の戸籍謄本
・本人の各預貯金通帳の表紙,その裏,最終頁の写し
・本人所有の土地及び建物の固定資産評価証明書
・死亡保険証書の写し
・会社の商業登記簿謄本
・会社の定款
・会社の株主名簿
・各相続人の名前と本人との続柄が載っている戸籍謄本
・他
④相続人の合意書の作成
我が家の場合、相続人のうち、父の死後に地元に残って手続きができるのが主に私なので、委託の方法や詳細を決めたものを三部作り合意書としてそれぞれ署名捺印をして各自が一部ずつ持ちます。その文案を弁護士に作ってもらいます。
⑤弁護士が遺言及び合意書の素案を作成し、公証役場で確認してもらい、訂正があれば訂正をする。
修正が入った文書はその都度見せていただきます。こちらから意見や質問があれば弁護士とやり取りします。
⑥公証役場に行く
立ち合い人を相続人以外から二名同席させる必要があります。我が家の場合は、弁護士事務所のほうで担当弁護士及びもう一名を用意していただきました。ちなみに、私は父に付き添って公証役場まで行きましたが、相続人であるという理由で中に入れませんでした。
公証役場の手数料数万と、本人の印鑑証明書、実印、身分証明書が必要です。
⑦公正証書遺言のできあがり
ぱちぱち。
途中経過で順番が前後しても良いものがあるので、弁護士に確認しましょう。
以上のことをやって良かったこと。
・改めて相続に値するものの見直しができました。我が家の場合、実家の土地建物に会社の経営の都合で根抵当権がついたまま外し忘れていたことに気付くことができ、無事に処理できました。
・相続人同士の会話が増えました。特に相続人が女性ばかりなので、和やかな雰囲気で会話できました。
・何よりも本人が安心してこの先を過ごすことができるようになりました。
実家はさして資産がないので割とシンプルでしたが、いろいろとお持ちの方だともうちょっと複雑になるかと思います。また、相続人同士が連絡がつかなかったり遠方にいたりしたら、各種書類を集めるのが大変かもしれませんね。
以上、上記のことが最初の相談から約二ヶ月で完了しました。
参考になさってください。